アンケートによれば、厄年を気にしている人は約半数に上り、特に「大厄」では半数以上の人が不安を抱えていることがわかります。

（出典：「ライフネット生命調べ」）

厄年に対して心配するのはあなただけではありません。

ここでは、厄年を「人生の転機」として捉え、前向きに行動するために、厄年の意味や由来、厄年にすべきこと・避けるべきことを詳しく解説します。

この記事を読むことで、厄年への不安が和らぎ、新しい年を安心して迎えるためのヒントが得られることでしょう。

１. 【早見表あり】厄年はいつ？

1-1. 男性｜４歳、25歳、42歳、61歳

※年齢は数え年です

 

1-2. 女性｜４歳、19歳、33歳、37歳、61歳

※年齢は数え年です

1-3. 男性42歳・女性33歳は「大厄」

厄年の中で、特に注意すべきとされるのが大厄。特に変化の大きな年になるといわれています。

男性の42歳は「死に」、女性の33歳は「散々」に通じることから、大厄として特に忌み慎む年齢だと考えれています。ちなみに、この語呂合わせは、江戸時代には既に存在していたといいます。

1-4. 厄年はどう計算する？

1-4-1. 数え年で計算する

厄年は数え年で数えます。

数え年とは、生まれたときを1歳とし、1月1日を迎えるたびに1歳年を加算する、という年齢の数え方です。

1-4-2. 早生まれは関係ありません

厄年は数え年で年齢を数えるため、早生まれは関係ありません。

数え年では、同じ年に生まれた人は1月1日に一斉に年を取るためです。

1-4-3. 厄年自動計算サイト

こちらのサイトでは生まれ年を入力することで、自身の厄年がわかります。

keisan 生活や実務に役立つ計算サイト

２. 厄年について

2-1. 厄年とはどんな年？

2-1-1. 災いが起こりやすい年

厄年とは、人の一生の中でも体力的、家庭環境的、または対社会的にそれぞれ転機を迎える時期でもあり、体調不良や災難といった災厄が起こりやすい時期として忌み慎まれています。厄祓い | 神社本庁公式サイト

厄年とは、中国の陰陽道の考えをもとにした考え方で、簡単にいうと「人生において災いが起こりやすい年」といわれている年のことをいいます。

男性では4歳・25歳・42歳・61歳、
女性では4歳・19歳・33歳・37歳・61歳
になる年が厄年にあたります。

日本では昔から、厄年では身に降りかかる災難を避けるため、神社やお寺で厄除けのご祈祷をする風習があります。

2-1-2. 社会的や心身的な節目の年

現代的には、厄年にあたる年は、人の一生のうち、体調や家庭環境、社会生活において節目を迎える頃です。

それぞれ厄年の年は、男性であれば社会的に責任が大きくなり、女性であれば出産や婦人科系の病気が現れたりと、何かと不安定になる時期でしょう。

厄年は、不安定な時期に事故にあわないよう、自分を見つめ直し、気持ちを入れ替える節目として考えましょう。

2-2. 厄年の期間は？

2-2-1. 3年間続く

厄年は、その年である「本厄」と、その前後の年である「前厄」「後厄」の3年間続くものとされています。

厄年が3年間続く理由は「人の環境の変化にはおおよそ3年かかるため」や「前厄は厄の前兆が現れる年、後厄は厄が薄れゆく年」と考えられていたなど、諸説あります。

前厄・本厄・後厄と三年間厄除けを受けるのが正式ではありますが、本厄の年にだけ厄除けをする人もいます。

2-3. 厄年の歴史は？

2-3-1. 起源は平安時代以前

厄年の風習がいつから始まったものかは、定かではありません。

しかし、平安時代の書物にはすでに、厄年の厄を祓うために儀式をする描写がみられることから、古くより日本人に根付いている風習の一つといえます。

2-3-2. 本来は「ハレ」の年齢だった

厄年には「災難が起こりやすい」という否定的なイメージが強いですが、かつてはハレの年齢として祝われる側面もありました。

厄年を迎えることは、地域社会において一人前として認められ、神社の祭祀や運営に深く関わる年齢となることを意味しました。

その象徴として、氏神神社の祭礼で厄年の人々が神事を奉仕し、厄祓いを行う習慣が各地に存在します。

また、「厄」という言葉は、神さまに仕える役目を指す「役」に由来するとされます。厄年の人々が心身を清め、慎ましい言動を心がける「物忌（ものいみ）」に服したのも、この神聖な役割を担うためでした。

３. 厄年にすること・してはいけないこと

3-1. 厄年には何をする？

3-1-1. 厄除けのご祈祷を受ける

厄年には、神社やお寺で厄除けのご祈祷を受けます。このことを、「厄払い」ともいいます。

厄除けのご祈祷では、神社で一年間の災いがないよう祝詞をあげ、自身に災厄が寄ってこないようにお祓いをしてもらいます。

本人が神社に行きご祈祷を受けることが一番ですが、体調の都合や遠方の神社で受けたい場合、代理でのご祈祷やオンラインでご祈祷の申し込みを受け付けている神社もあります。

3-1-2. 厄除けやお守りを受ける人は半数近く

厄年を迎えるにあたり、おおよそ半数の人が厄除けのご祈祷や厄除けのお守りを受けるなどの行動をした、と答えています。

（出典：「ライフネット生命調べ」）

3-2. やってはいけないことはありません

厄年は一般に、災厄が起こりやすい時期といわれます。

しかし、「新しい挑戦や大きな決断をしてはいけない」というわけではありません。

厄年に災厄が起こりやすいとされているのは、社会的にも心身的にも転換期を迎える時期であるからです。転換期には、新しい挑戦や大きな決断が多くなり、おのずとミスや失敗が多くなるものです。

“厄年だから”と悲観的に考えるのではなく、転換期だからこその新しい挑戦や決断が多くなるので、普段より慎重に物事を進めるよう心掛ける期間であると考えましょう。

４. 厄除けをするタイミング

4-1. いつ厄除けをしたらいい？

4-1-1. 厄除けはいつ受けても大丈夫

もちろん神社やお寺での厄除けのご祈祷は、一年中いつでも受けることができます。

節分までに厄除けを受ける風習は旧暦を前提とした考え方です。ご自身の都合のいい時期に行きましょう。

4-1-2. 元日から節分までが多数（1～2月）

厄除けのご祈祷をする時期に決まりはありませんが、元旦から節分（2月3日）ごろまでに厄除けを受ける方が多いようです。

旧暦では、節分の翌日である立春（2月4日）から次の年の立春までが、おおよその一年間と考えられていました。

そのため「厄を落としてから新年を迎えたい」という考え方から、立春の前日である節分までに厄除けを受ける風習が生まれたといわれています。

4-1-3. 幸先参り（前年12月）

最近では、前年12月のうちに翌年の厄除けのご祈祷を行う「幸先参り（さいさきまいり）」を行うことも増えています。

12月にご祈祷を受けることで、年始の混雑を避けお参りすることができることがメリットです。

５. 厄除け祈願の受け方

5-1. 祈願の事前準備は？

5-1-1. 神社に予約の要否を確認する

神社によっては厄除け祈願の予約が必要な場合がありますので、WEBサイトであらかじめ確認しておくと安心です。

初穂料は事前に確認し、封筒に入れて受付で渡すとより丁寧です。

初穂料の準備の仕方はこちらから▼ 初穂料はどんな封筒に入れる？書き方やお金の入れ方、神社での渡し方まで解説｜このはな手帖｜産泰神社

5-2. 祈願の流れは？

まず、神社の受付でご祈祷の申し込みをします。

ご祈祷を受ける人（厄除け祈願を受ける人）の名前・住所・厄除け祈願を受ける旨を受付用紙に記入をします。

記入が済んだら、事前に準備した初穂料と一緒に受付に渡します。

5-2-1. 修祓

まずお祓いの儀式である修祓（しゅばつ）がはじまります。

修祓では、まず神職が祓詞（はらえことば）を読み上げ、大麻（おおぬさ）で参拝者のお祓いをします。

祓詞を読み上げているとき、大麻でお祓いをしているときは、軽く頭を下げます。

5-2-2. 祝詞奏上

お祓いの後は厄払いの祝詞が読み上げられます。祝詞が読み上げられている間は、軽く頭を下げましょう。

5-2-3. 玉串拝礼

ご祈祷の最後に、玉串を神様にお供えして拝礼をします。

玉串とは、榊の枝に紙垂（しで）をつけたもので根元を神様の方向に向けお供えをします。

拝礼は「二礼 二拍手 一礼」の作法で行います。玉串の捧げ方は下の動画を参照してください。

5-3. 授与品はどうしたらいい？

5-3-1. お神札は神棚に、お守りは身につけましょう

ご祈祷でいただいた授与品の中で、お神札は神棚に、厄除けのお守りは身に着けるようにしましょう。

神棚がない場合は、家族が集う部屋の目線よりも高い場所にお神札をお祀りしましょう。

他にも、お神酒やお下がり（御神供）は、神様にお供えされた撤下品（てっかひん）ですので、家族みんなでいただきましょう。

5-3-2. 一年たったら神社に納めましょう

神社でいただいたお神札やお守りは、一年を目安に神社に納めましょう。

遠方で納めに行けない、という場合は、近くの神社で預かってもらえる場合もあります。

その際、神社でいただいたものは神社で、お寺でいただいたものはお寺に収めるのがマナーです。

お守りなどの授与品の返納について詳しくはこちら▼ 【2025年初詣】お守りはいつ・どこに返納すればいい？ | このはな手帖 | 産泰神社

６．厄年とは異なる「八方塞がり」

6-1. 八方塞がりとは？

6-1-1. 九星気学に基づく吉凶占いで最も注意が必要な運勢

厄年とよく混同しやすいのが「八方塞がり」や「鬼門」などです。

これらは、九星気学に基づいてその人の生まれ年により吉凶を占う考え方です。

九星気学は古代中国に起源を持つ占術で、生まれた年月によって「本命星（生まれ星）」を9つに分類し、その星の位置や方位の吉凶を占う考え方です。

この占術は、個々人の運勢や行動すべきタイミング、避けるべき方位を知るための指針として活用されてきました。九星気学は、暦や方位の吉凶を示すだけでなく、日常生活における慎重な行動の指針ともなります。

中でも、「八方塞がり」とはよく耳にすることでしょう。八方塞がりは、9年に一度巡ってくる最も注意が必要な運勢の状態を指します。

この年には、自分の本命星が九星方位盤の中央に位置し、周囲の8つの星に遮られることで、吉方位がなく、出口がない状態になるとされています。

そのため、病気、ケガ、事故、人間関係のトラブルなど、不幸が起こりやすいとされます。

他にも、鬼門・裏鬼門・困難宮にあたる年は災いが起きやすいといわれているため、神社やお寺で「方位除け」のご祈祷を受けます。

6-2.  2025年 方位除け一覧表（男女共通）

八方塞がりなど、2025年に災いが起こりやすいとされる生まれ年の一覧です。ご自身が当たっている場合は、方位除けを受けるとよいでしょう。

 

7.まとめ

さて、いかがでしたでしょうか。

厄年は、災厄が起こりやすい年と考えるのではなく、人生の転換期だからこそ慎重に進むべき年であると考えるとよいでしょう。

2025年の厄年にあたる方は悲観するのではなく、人生の転機に失敗が起こらないよう厄除け祈願を受け、清々しい気持ちで新しい年を迎えるようにしましょう。

＜参考資料＞
厄祓い(男性・女性の厄年、本厄等) | おまいりする | 神社本庁公式サイト
飯倉晴武「新装版 日本人のしきたり」2023年、青春新書
火田博文「日本のしきたりが楽しくなる本」2018年、彩図社
神道と神社の歴史研究会「日本人として知っておきたい神道と神社の秘密」2017年、彩図社
茂木 貞純「日本人なら知っておきたい! 神道としきたり辞典」2014年、PHP研究所

よくある質問

［質問］厄年とは何ですか？

［回答］人生の転換期で、災いが起こりやすい年であるといわれています。

［質問］厄年には何をしますか？

［回答］神社やお寺で厄除けのご祈祷を受け、厄払いをします。

［質問］厄除けのご祈祷は、いつまでにいくものですか？

［回答］厄除けに期限はありません。いつ厄除けのご祈祷を行っても大丈夫です。