INDEX
1. お賽銭って何?
1-1. 神様へ感謝を伝えるお供え
お賽銭は、神様へ感謝の気持ちを伝えるもの、といわれています。
お賽銭の起源や由来は諸説ありますが、一つはその年の豊穣に対する感謝のために、神様の前にその年に取れたお米や海・山の幸をお供えしていたことがはじまりといわれています。
神社に行くと、神様へ米や魚がお供えしてある場面を見たことがある方もいると思います。そのお供えが、お賽銭の由来の一つです。
農耕民族であった日本人は、その年の収穫は神様からの贈り物であると考えてられていました。そのため人々は、その年に取れた収穫物(米や野菜・魚など)を神様にお供えすることで神様に感謝を伝え、翌年のさらなる豊穣を願っていたのです。
当初は作物をお供えしていたものが、時代とともに次第に金銭を納めるようになっていったといわれています。
1-2. 人についた穢れ(ケガレ)を祓う意味
また、お賽銭を神社に納めることには、自分についた穢れを祓う意味があるともいわれています。
金銭には人の穢れが乗り移ると考えられており、現在でもお金が人の代わりに穢れを引き受け、そのお金を神様に納めることで本人が祓い清められる、という風習が各地に残っています。
自身の穢れのついた金銭を賽銭として神社に納めることで、身を清めてもらうという考え方です。
鎌倉の銭洗弁天などでは、お金を水で洗うことにより身を清めるという風習が現在でも残っており、これも同じ考え方に由来するものです。
1-3. お願い事は神様への感謝を込めてしましょう
神様へのお供えは、今年の作物の実りへの感謝と同時に、次の年のさらなる豊穣への願いを込めて行われました。
そのため、お賽銭をしてお願い事をする、という考えも決して間違いではありません。
しかし大切なことは、毎日無事平和に過ごせているということへの、神様への感謝の気持ちが大前提であるということです。
お賽銭をする時は、一方的に神様にお願い事をするのではなく、神様への感謝の気持ちをもって願い事をすることが大切です。
2. お賽銭の由来と歴史は?
2-1. その年の収穫物やお米の「おひねり」を納めていた
お賽銭は、元々はその年の豊作を神様に感謝するために、その年に取れたお米や海の幸、山の幸をお供えしていたお供えが始まりといわれています。
中でもお米は日本人の生活に欠かせない特別なものであったため、洗ったお米を紙に包んでお供えする「おひねり」や、神社にお米を撒く「散米(さんまい)」が行われるようになりました。
この散米が、時代が進むにつれ金銭になり「散銭(さんせん)」よばれ、時代とともに「賽銭(さいせん)」と呼ばれるようになったといわれています。
2-2. 金銭を納めるのは鎌倉時代以降
金銭のお供えをするようになったのは鎌倉・室町時代以降といわれています。
このころ日本は貨幣が普及してきており、米の代わりに価値のある物として金銭が納められるようになったといわれています。
また庶民による社寺参拝が盛んになり、遠くの社寺詣でを行うようになったのも、持ち歩きやすい金銭がお供えとして使われるきっかけになったといわれています。
2-3. 日本最古の賽銭箱は鶴岡八幡宮
米ではなく金銭を納める「散餞」が広まったことで、戦国時代になると神社には現在のように「賽銭箱(賽銭櫃:さいせんひつ)」が置かれるようになりました。
戦国時代の鶴岡八幡宮の別当である快元の日記『快元僧都記』によると、日本最古の賽銭箱は神奈川県の鶴岡八幡宮に設置されたといわれ、時代とともに各地の神社に置かれるようになったといわれています。
3. お賽銭の金額はいくら入れるのが正しい?
3-1. 金額に決まりはない
お賽銭は、もともとは今年の収穫を神様に感謝し来年の豊作を願うことから始まった風習です。そのため、賽銭に決まった金額はありません。
あくまで神様へのお気持ちで納めるものですので、ご自身で金額を決めてよいものです。
また、「大きいお願い事をする時は金額は多い方がいい?」「少ない金額だと願いが叶わない?」と悩まれる方もいるかもしれませんが、こちらも関係はありません。
3-2. 語呂合わせは気にしなくてよい
お賽銭の金額で縁起のいい語呂合わせとして「5円(=ご縁がありますように)」「15円(=十分ご縁がありますように)」などがよく聞かれます。
これらの語呂合わせは、あくまで迷信の一つです。そのため無理に語呂合わせにこだわる必要はありません。
しかし、お賽銭は気持ちを込めて神様に捧げるものです。たとえ語呂合わせでも、自分なりに意味や思いを込めてお賽銭を納めることは決して悪いことではありません。
自分自身の気持ちを込めて語呂合わせの金額でお賽銭したい、というかたは一つの目安にしてもよいかもしれません。
以下、よくいわれるお賽銭の縁起の良い語呂合わせを紹介します。
縁起が良いといわれている金額 | 縁起が悪いといわれている金額 |
・5円(ご縁がありますように) ・15円(十分ご縁がありますように) ・115円(いいご縁がありますように) |
・10円(遠縁になる) ・65円(ろくなご縁が無い) |
もちろん上記に挙げたものは迷信ですので、どのような金額を入れても大丈夫です。自分自身で決めた金額やこれ以外の金額でも全く問題はありません。
語呂合わせをしてもしなくても、お賽銭の金額を決めるときは、自分なりに気持ちや思いを込めて入れることが大切です。
3-4. お財布の中身の小銭を適当に入れる、はNG
お賽銭の金額に縁起の良し悪しはありませんが、財布の中に残った小銭をむやみ適当にいれるのはNGです。
お賽銭は、いらない小銭を入れる場所ではなく、神様へのお供えです。自分なりに気持ちを込めて、お賽銭をすることが大切です。
3-5. 汚れたお金もNG
汚れたお金をお賽銭として入れるのは、神様に対して失礼に当たります。
神札や新しいお金である必要はありませんが、特に汚れがひどいお金は避けましょう。
4. 実際のお賽銭の相場は?
4-1. 5円~10円が最も多い
お正月のお賽銭の相場は100円が最も多く次に5円、10円が多いという結果がでています。
アンケート結果によると、硬貨でのお賽銭が大多数を占め、紙幣で納める人は少ないという結果になりました。
4-2. 縁起の良し悪しを気にする人は半数
お賽銭の額を語呂合わせで決めるのは迷信ではありますが、半数の方は「縁起が悪い」といわれている語呂合わせに関しては避ける傾向があるようです。
気にしなくてもちろん大丈夫ですが、神社でのお参りは気持ちよく終えたいもの。気になる人は、お参りを気持ちよく終えるために避けた方が無難かもしれません。
Dream News|初詣のお賽銭はいくら?語呂合わせの悪い金銭は避ける傾向にあり!
5. 正しいお賽銭の入れ方とお参りの方法とは?
ここではお賽銭を入れる際のお参りの手順を解説します。
5-1. まずは鳥居をくぐる
神社の境内に入るときには、鳥居の前で軽く一礼をします。鳥居は神様がいる神域との境目と考えられているため、鳥居をくぐる時は軽く一礼をしましょう。
逆に神社を出るときには、鳥居の前で神社の方を向き、一礼をしてから出るようにします。
神社に鳥居が無い場合は、門の前で一礼をするようにしましょう。
5-2. 社殿に向かう参道は正中(中央)以外を歩く
鳥居から神社の社殿に続く道を「参道」といいます。参道を歩く際は参道の中央を歩かないようにします。
賛同の中央は「正中(せいちゅう)」といい、神様の正面に当たる為、正中を外して歩くのがマナーです。神道の考えでは正中の左側を歩くのが正しいとされますが、神社や込み具合によっては右側を歩いても大丈夫です。
5-3. お参りの前に手水舎でお清めをする
お参りをする前に、手水舎(てみずしゃ)でお清めをしてからお参りをします。
<手水舎でのお清めの方法>
①柄杓(ひしゃく)を右手に取り、水を汲みます
②水の4分の1ほどを左手にかけ清めます。ひしゃくを左手に持ち替え、右手も同様に清めます。
③再度右手にひしゃくを持ち替え、左手の手のひらに水をため口をすすぎます(この際、柄杓に直接口を付けないようにしましょう)
④最後に柄杓を立て、残った水を柄杓の柄に流して柄杓を元の位置に戻します。
神社によっては柄杓が無い場合や、手水が無い場合もあります。その場合は柄杓の代わりに手で行う、ハンカチなどで手を拭いてからお参りをするなど工夫をしましょう。
5-4. お賽銭は、一礼をしてから
社殿の前では、まず神様に向かい軽く一礼をします。その後、賽銭箱にお賽銭を入れます。お賽銭は投げ入れるのではなく、丁寧に入れるようにしましょう。
なお、賽銭箱が複数ある神社の場合、必ずしも真ん中でお参りする必要はありません。真ん中でお参りしないと神様に気持ちが伝わらない、なんてことはないので安心してくださいね。
5-5. 「二礼二拍手一礼」の作法で拝礼をする
お賽銭を入れ終えたら、二礼二拍手一礼の拝礼をします。
<二礼二拍手一礼の方法>
① 深い礼(お辞儀)を二回繰り返します。
② 両手を胸の高さで合わせ、右手を少し手前に引き、肩幅程度に両手を開いて拍手を二回打ちます。
③ 両手を合わせ、心を込めて祈ります。
④ 両手をおろし、最後にもう一度深い礼(お辞儀)をします。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
毎年初詣でお賽銭を入れる方も、お賽銭の意味や正しいお参りの仕方について知らなかった方も多かったのではないでしょうか。
以下まとめると
◆お賽銭は神様へ感謝を伝えるお供え物が由来
◆お賽銭の金額に決まりはない
◆語呂合わせについても気にする必要はない
◆金額ではなく、気持ちを込めて丁寧に入れることが大切
◆お賽銭を入れる際のお参りの方法にも注意しましょう
以上となります。
初詣は、多くの人が前年の感謝と今年の幸せを願って神社にいく一大イベントです。
これから始まる一年を気持ちよくスタートを切れるよう、お賽銭とお参りの仕方をマスターして神社にお参りしましょう。
<参考資料>
國學院大學日本文化研究所(1994)「神道事典」弘文堂
神社本庁(2012)「神社のいろは」扶桑社
神社本庁|お賽銭について
よくある質問
[質問]お賽銭とは何ですか? |
[回答]お賽銭は神様への感謝を表すものです。元々は神様へのお供えとして、その年に取れた農作物や米などをお供えしており、時代とともに金銭を納めるようになりました。 |
[質問]お賽銭に入れる金額はいくらがよいですか? |
[回答]お賽銭の金額に決まりはありません。語呂合わせなども迷信です。金額はいくらでも大丈夫ですが、自分なりに気持ちや思いを込めて入れることが大切です。 |
[質問]お賽銭で入れてはいけない金額はありますか? |
[回答]入れてはいけない金額はありません。ですが、汚れたお札や硬貨を入れるのは失礼にあたりますので避けましょう。 |