INDEX
1.初穂料とは?
1-1. 初穂料とは神社に納めるお金のこと
初穂料(はつほりょう)とは、神社でのご祈祷、お札やお守りを受けた際に納める謝礼金のことをいいます。
初穂料は、神様への感謝を伝えるために神社に納めるものなので、物を買うときに支払う「料金」とは意味が異なります。
1-2. 古来は「初穂」を神様にお供えしていた
初穂という言葉からもわかる通り、初穂料は「その年に取れた最初の稲」を神様にお供えしていたことに由来しています。
古くから農耕民族であった日本人は、春になると神様にその年の豊作をお祈りし、秋の収穫を迎えると神様への感謝と喜びを込めて、その年の最初に採れた稲穂である「初穂」をお供えしていました。
時代が進むにつれ、初穂という言葉は「神様に感謝を込めてお供えするもの」の総称として使われるようになり、その年に初めて収穫した野菜や魚、さらにはお供えされるお金にも「初穂」という言葉が使われるようになったと言われています。
現代の「初穂料」は、神様へ感謝を伝えるお供え物としてのお金、という意味です。
1-3.「初穂料」と「玉串料」の違い
初穂料と似た意味で使われる言葉に「玉串料(たまぐしりょう)」という言葉があります。
玉串とは、榊の木に紙垂(しで)や麻を付けたものです。
玉串は、神様のご神威(ご利益)を受けるために捧げるもの、という意味があり、神職や参拝者が神様にお願いごとをするときに捧げるものです。
そのため、神様に喜びと感謝を伝える「初穂」とは少し意味が異なります。
それぞれ使用する場面は以下の通りです。
2.初穂料はどのような封筒に入れるのがよい?
2-1. 初穂料はのし袋を使用するのがマナー
初穂料はそのまま神社で納めても問題はありませんが、「のし袋」を使用すると、より丁寧な納め方になります。
のし袋とは、縁起物であるのし(熨斗)と水引があしらわれている封筒のことです。
2-2. のし袋の4つの構成
2-2-1. 上袋(うわぶくろ)
のし袋の一番外側の袋を、上袋(うわぶくろ)と言います。
上袋には「初穂料」の文字のほか、初穂料を納める人の名前を書きます。のしと水引が実際に装飾してあるものや、印刷で描かれているものがありますが、実際にのしと水引が装飾されているものがより豪華です。
素材は和紙のものや通常の紙のものがありますが、どちらを選んでもかまいません。
ただし、色がカラフルなものはカジュアルな印象を与えますので、神社に納める初穂料には向きません。
2-2-2. 中袋(なかぶくろ)
上袋の中に入っているのが、中袋(なかぶくろ)です。
市販ののし袋には中袋がついていることがほとんどです。
中袋にはお金を包み、表面には金額や自分の住所・氏名などを記入します。
なお、中袋がなく上袋のみのものは、簡易的なのし袋になります。
神社で納める初穂料は、中袋が無いものでも問題ありません。
2-2-3. 熨斗(のし)
熨斗(のし)は、お祝い事の贈答品などに添える飾りです。
のし袋の右上にある飾りのことを指します。
のしは「のしあわび」とも呼ばれ、古来は本物のあわびを使っていました。
のしあわびは、長寿延命に通じる縁起がよいものといわれており、贈り物にのしあわびを添えることで、相手への末永く続くお祝いの気持ちを表します。
のし袋では現在はほとんど簡略化され、あわびを模した紙細工や印刷が用いられています。
神社で納める初穂料は、のしがついている方が丁寧ですが、ついてないものでも問題ありません。
2-2-4. 水引(みずひき)
水引とは上袋にかける赤白や金銀の帯紐です。結び方や色、本数によって様々な意味を持ちます。
結び方
(1)蝶結び
蝶結びは、何度も結びなおすことが出来るため「何度あってもよい」とされるお祝い事で使用します。
安産祈願やお宮参りは何度あってもよいお祝い事であるため、蝶結びの水引を選びましょう。
反対に、結婚祝いやお見舞いは何度も繰り返すことは望ましくないので、使用しません。
(2)結び切り(真結び)
結び切りは、一度結ぶとほどけないことから「一度きりで繰り返さない」ことに使用します。
結婚祝いや病気の快気祝いなどに用いられます。
(3)あわび結び(あわじ結び)
あわび結びは、引っ張ると固く結ばれるのが特徴です。
結婚祝いやお見舞い、謝礼や葬儀など幅広く使えるのが特徴です。
水引の色
水引の色は赤白、赤金、金銀、白黒、双白、双銀やさらにはピンクや緑色のカジュアルカラーの水引もあり、それぞれで使用できる場所が決まっています。
慶事・吉事のおめでたい場面では、金銀や赤白、赤金の水引を使用します。
ピンクや緑などのカジュアルな水引は、友人など親しい人の結婚式で使用します。
弔事・凶事では黒白や双銀、双白、黄白(主に関西)などが使われます。
お見舞いでは主に赤白が使われます。
水引の本数
水引は、地域や場合によって本数も変わりますが、一般的にはお祝い事の水引は奇数本数で結ばれます。
5本が基本ですが、3本は簡易的、7本はより丁寧にしたものです。
反対に、葬儀では偶数が使用され、4本が基本で、2本、6本の場合もあります。
また、婚礼関係は10本の水引を使用します。
ただし、これは偶数という考え方ではなく、5本ずつを両家に見立てて倍数にした、二重の結び方であるという考え方によるものです。
2-3. シーン別!どんなのし袋を使えばよい?
2-3-1. のし袋のシーン別まとめ
様々なシーンで使われるのし袋ですが、それぞれのシーン毎でののしの有無、水引の結び方・色・本数の組み合わせは、以下の通りです。
明確な決まりはありませんが、金額によっても使用するのし袋は変わります。金額が上がるにつれ、のし袋は豪華なものを使用します。
目安として1万円以内でしたら印刷ののし袋、それ以上でしたらのしと水引が装飾されているものを使用するのが目安です。
2-3-2. 安産祈願、お宮参り、七五三には蝶結び
新たな命を授かり、元気に生まれて大きく成長されることは、何度あっても嬉しいものです。
したがって、安産祈願、お宮参り、七五三には、蝶結びを使用します。
>>>お宮参りののし袋についてはこちらもどうぞ 【画像で解説】お宮参りの初穂料はどんな封筒に入れる?金額の相場は?書き方、マナーを徹底解説 |
2-3-3. あわび結びは地域によっては慶事で使用できる
あわび結びは地域によっては安産祈願やお宮参り、七五三などの慶事で使用しても良いとされています。
しかしあくまで「結び切り」の一種のため、基本的には「何度あってもよいお祝い」では使用しません。
そのため、特別な理由が無い限りは蝶結びの水引を選ぶのが無難です。
2-4. のし袋がない場合は郵便番号欄のない白の封筒で代用
急遽必要になってしまった場合や、どうしてものし袋を用意できないときは、無地の白封筒で代用することができます。
書き方も、通常ののし袋に準拠した書き方をすることで、丁寧な納め方になります。
3.のし袋はどこで買える?
3-1. 文房具店やロフト・ハンズ
文房具の専門店や、ロフト・ハンズでは、のし袋のラインナップが豊富です。
シンプルなものから豪華なもの、かわいいものからスタイリッシュなものまでさまざまですので、お気に入りのものを見つけましょう。
⌘伊東屋
3-2. Amazon、楽天などオンラインショップ
Amazonや楽天などのオンラインショップでも購入できます。
こちらも、目的や金額によって様々な種類がありますので探してみましょう。
⌘ 楽天 のし袋
3-3. コンビニやスーパー・100円ショップでも購入できる
コンビニやスーパー、ダイソーなどの100円ショップでも、のし袋は購入できます。
最近では簡易的なのし袋だけでなく、豪華なデザインののし袋も購入することができます。
コンビニや100円ショップだから失礼に当たる、ということはありませんのでご安心ください。
4.のし袋の書き方
4-1. のし袋は筆や筆ペンで書こう
のし袋に名前や住所を記名するときは、筆や筆ペンで書きます。
筆ペンは市販のもので大丈夫です。
なお、「薄墨」は葬儀用です。万年筆やボールペンはマナー違反ではありませんが、字が細くなるので避けた方がよいでしょう。
4-2. 上袋の書き方
4-2-1. 記名の基本的な書き方
上袋の正面上段に「初穂料」(もしくは玉串料)と書き、下段に氏名を書きます。
のし袋に記載する名前は願い主(神様にお願いをする本人)の氏名を書きます。
例えば、安産祈願は、妊婦さんがお願いをする祈願ですので、妊婦さんの氏名を書きます。
お宮参りでは、お宮参りをするお子さまの名前を書きます。
あくまで「お願いをする本人」の名前を書くと覚えておきましょう。
4-2-2. 夫婦で連名を記名する場合
夫婦連名で記名する場合(家内安全祈願や子宝祈願など)まず夫の名前を中央に書き、妻の名前をその左側に書きます。
この場合、妻の苗字は省略しても大丈夫です。もちろん妻と夫は逆でも構いません。
4-2-3. 3人以上で連名する場合
連名のおもて書きは、3名までは通常の書き方で問題ありません。
代表者の名前を真ん中に書き、その左に連名者の名前を書きます。
なお4名以上の場合は、代表者の名前を中央に書きその左側に「他一同」と書き添えます。
4-3. 中袋の書き方
中袋には、中袋に入っている金額と、住所・氏名を書きます。
まず、おもて側の中央に「金〇仟圓」のように、旧漢字で金額を記入します。
10万円以上納める場合は「金拾萬圓也」のように、金額の後に「也」を付け加えます。
中袋のうら側には、神様にお願いをするご本人の住所と氏名を書きます。
4-4. 白い封筒を使う時の書き方
白い封筒を使う場合も、のし袋の書き方と同じです。
おもて面は、真ん中を境に上段に「初穂料」と記載をし、下段に氏名を書きます。
封筒の場合は中袋がありませんので、うら面の左下に、お願いをする人の住所と氏名を記載します。
4-5. 漢数字の書き方
中袋に記入する漢数字は、上表の旧数字を使います。
なお四や九は死、苦を連想させるので基本的に使用しません。
やむを得ず4万円、9万円を納める場合は、初穂料を二つに分けて準備しましょう。
5.のし袋へのお札の入れ方
5-1. 肖像画が正面を向くように入れましょう
お札を中袋に入れる際、肖像画が正面・上部に来るように入れます。
お札の種類が複数になる場合は、金額の大きい順から手前に入れます。
5-2. できるだけ新札を入れましょう
初穂料は、神様への感謝を示すものですので、なるべく新札を用意するようにしましょう。
銀行や郵便局の窓口や両替機を使って準備する方法が元も確実です。
どうしても新札を用意できない場合は、なるべく折り目のついていない紙幣を選びましょう。
汚れている紙幣や破れている紙幣は失礼にあたるので避けましょう。
5-3. 中袋は糊付けは必要ありません
中袋にはのりをせず、そのまま上袋に包んで納めましょう。
本来、初穂料は「奉書紙」と呼ばれる和紙にお金を包んで納めていたため、のり付けする習慣はありませんでした。
したがって、中袋にものりしろがついている場合がありますが、糊付けは必要ありません。
5-4. 上袋で丁寧に包みましょう
最後に上袋で中袋を包みます。包む際、後ろの重なる部分はお祝い事の際は下部が上に来るように折りたたみます。
一方、葬儀などでは上部が上に来るように重ねます(地域や流派によっては逆の場合もあります)。
6.初穂料の目安は?
6-1. 神社に確認
初穂料は、神社によって異なります。また、納める金額によって授与品やお札の大きさが変わる神社もあります。
初穂料を事前に準備するためにも、WEBサイトや電話で事前に確認しておくと安心です。
6-2. 金額が決まっていない場合の参考相場
初穂料の相場は、安産祈願やお宮参りは5,000円~10,000円、地鎮祭は20,000円~30,000円が目安です。
「初穂料はお気持ちで」と明確に決まっていない神社もありますので、その場合は相場の金額を納めるか、もしくは事前に神社に確認しましょう。
7.初穂料はいつ・どうやって渡す?
7-1. ご祈祷の受付で渡しましょう
ご祈祷の場合は、ご祈祷の受付をする際に渡します。
のし袋のまま渡しましょう。
なお、地鎮祭など、神社の外で渡す場合は神社によって異なりますので、事前に神社に相談しましょう。
7-2. 丁寧に袱紗(ふくさ)に入れて持ち運びましょう
せっかく用意したのし袋が、渡す前に折れてしまっていてはもったいないですよね。
そのようなことが無いよう、袱紗(ふくさ)を準備すると安心です。
袱紗は慶事では暖色系、弔事では寒色系を使うのが一般的ですが、紫色は慶弔両方で使えるので持っておくと便利です。
近頃は若者向けのおしゃれなデザインのものも販売されています。
まとめ
いかがだったでしょうか。初穂料と聞くと堅苦しく難しそうに聞こえますが、以下のポイントを押さえておけば難しくありません。
・初穂料とは神社に納めるお金のこと
・初穂料はのし袋を使用するのがマナー
・のし袋は文房具店、オンラインショップ、コンビニや100円ショップでも購入できます
・のし袋の書き方とお金の入れ方に気を付けましょう
・のし袋は神社の受付で渡しましょう
安産祈願やお宮参りは、赤ちゃんにとっても家族にとっても大事な人生儀礼です。思い出に残るすばらしい一日になるよう、事前にしっかりと準備しておきましょう。
<参考資料>
・長浦ちえ「日本水引」誠文堂新光社
・Shaddy のし(熨斗)とは何なのか?気になるのしの使い方
・神社本庁 玉串の意味について
[質問]初穂料はどのような封筒にいれますか? |
[回答]のし袋に入れるとより丁寧な納め方になります。 |
[質問]のし袋はどこで買えますか? |
[回答]文房具店やコンビニ、100円均一ショップやAmazonなどでも購入できます。 |
[質問]のし袋はどのように準備する? |
[回答]上袋の表には「初穂料」と名前、中袋に金額と住所氏名を書きます |