1. 御朱印の意味と歴史
1-1. 御朱印とは?
1-1-1. お参りの証の印章
御朱印とは、神社やお寺にお参りをした証としていただく「神社(お寺)の印章」をいいます。
一般的に、神社や寺院の名前・参拝日などが毛筆で書かれ、その上から朱色の印を押します。
御朱印はスタンプラリーのスタンプとは異なり、神仏への信仰の証でもあります。
1-1-2. お守りとは異なる
お参りの証である御朱印は、「お守り」とは意味が異なります。
お守りは、神様や仏様の力が宿っているものであり、身に着けることで安産祈願や合格祈願などのご利益を受けられるものです。
一方、御朱印は特定のお願いごとに対する御利益があるわけではありません。
あくまで、その社寺にお参りをした証としていただくものと考えましょう。
1-2.御朱印の歴史は?
1-2-1. 「印」は神聖なもの
日本では古来より「印」に神秘的な力があると考えられており、西暦690年頃(持統天皇の時)には神様へのお供えとして「印」が使用されたという記録が残っています。
また、長崎県の印鑰神社ではご神体(神様)として「印」がお祀りされているほど神聖なものと考えられていました。
鎌倉時代には「牛玉宝印:ごおうほういん(朱印の押された厄除けの護符)」が神社仏閣で頒布されましたが、ここでも
「(牛玉宝印は)その本質は捺されている朱印のほうにある。朱印こそが呪力の源泉である「宝印」なのであって(中略)つまり、社寺の有する朱印が本来は牛玉宝印だったのである」神道文化業書35『日本の護符文化』
とされており「朱印」字体が神秘的な力を持つものである、考えられていました。
1-2-2. 御朱印は納経の証
現在の御朱印の由来といわれているものが、神仏習合時代の「納経受付」です。
この時代、信仰の証として書写した法華経などを神社や仏閣に納める風習があり、納めた証拠として「納経受付」とよばれる書き付けと印がいただけました。
近世以降になるとこれが簡略化され、納経をしなくてもお参りの証としていただけるようになりました。
なお、いくつかの寺院では現在でも「写経」をした人のみ御朱印をいただける場所があります。
1-2-3. 神社仏閣のお参りの証
一般の人々が神社仏閣を巡り、御朱印を集めるようになったのは昭和の時代に入ってきてからといわれています。
新幹線をはじめとするインフラが整備されたことで、巡拝者が遠方の神社仏閣にお参りすることが容易になり、参拝旅行としての集印が人々の楽しみとなったといわれています。
1-2-4. 様々な御朱印が登場
伊勢神宮の式年遷宮と出雲大社の遷宮が執り行われた2013年頃から、「御朱印ブーム」とよばれるブームが起こりました。
神社や仏閣では、季節に合わせた特別な御朱印やカラフルな御朱印など様々な種類の御朱印が頒布されており、神社仏閣廻りを楽しむ一つのきっかけになっています。
季節に合わせたしつらえの御朱印
2. 御朱印帳の入手方法とおすすめの種類
2-1. 御朱印帳って?
2-1-1. 御朱印を集める専用の帳面
御朱印帳とは御朱印を集めるための専用の帳面をいいます。
布や紙製の表紙に、、和紙で出来たページで構成されているものが一般的です。
通常、一ページに一つの御朱印を押してもらいます。
2-1-2. 通常のノートやスタンプとは異なる
御朱印帳はノートやスタンプ帳と異なり御朱印を集める専用の帳面です。
御朱印帳以外のノートや紙に御朱印をもらうのはマナー違反ですのでやめましょう。
2-2. どこで手に入れる?
2-2-1. 各神社仏閣で入手する
御朱印帳は、神社仏閣で手に入れることができます。
御朱印帳は各神社仏閣のオリジナルで販売しているものが多く、社殿や社名、社寺を代表する木花などが描かれており、好みの御朱印帳を探すのも楽しみの一つです。
有名デザイナーがデザインした御朱印帳を置いている神社仏閣もあります。
2-2-2. 雑貨店でも購入可能
最近では和雑貨や文具店でも御朱印帳を扱う店舗が増えてきました。
もちろん神社仏閣以外で手に入れた御朱印帳を使用しても問題ありません。
絵柄も多種多様な御朱印帳が売っているため、自分好みのデザインを見つけてみましょう。
2-3. 御朱印帳の種類は?
2-3-1. サイズの基本はB6(文庫本)サイズ
御朱印帳には様々なサイズがあります。
もっとも基本的なサイズはB6サイズ(文庫本サイズ)で、御朱印帳の種類の数も多くあります。
そのほか、大判サイズ(A4~B4サイズ)や手のひらに乗るミニサイズの御朱印帳もあります。
文庫本サイズの御朱印と大判の全国一宮御朱印帳
B6サイズ(文庫本サイズ)
基本的なサイズの御朱印帳です。ほとんどすべての神社仏閣でこのサイズの御朱印を押してもらえます。
また、ほかのサイズに比べてデザインも豊富なので、お気に入りの一冊を見つけることも出来ます。
B5サイズ
文庫本サイズの倍の大きさの御朱印帳です。B6サイズの倍、B5サイズの大きさの御朱印を押してもらうことができます。
B6サイズの倍の大きさなので迫力のある御朱印をいただくことができますが、この大きさの御朱印がある神社仏閣は多くありませんので、事前に神社仏閣に確認しましょう。
大判サイズ
A4サイズなどの大型の御朱印帳もあります。
一の宮巡拝会で販売されている「全国一宮御朱印帳」などが有名で、こちらも限られた神社で御朱印を受けることができます。
ミニサイズ
文具店などでは手のひらサイズの御朱印帳も購入できます。
ただし神社仏閣で正式に小さいサイズの御朱印を用意しているところは多くありません。
こちらも対応が可能かどうか、事前に調べておくようにしましょう。
ファイル型
ファイル型の御朱印帳もあります。
書置きの御朱印や切り絵の御朱印、木製の御朱印など、糊付けして御朱印帳に貼らずに収集できるのがメリットです。
文具店や通販で購入することができます。
2-3-2. ページは「蛇腹タイプ」と「和綴じタイプ」
蛇腹タイプの御朱印帳
御朱印帳の種類には大きく分けて「蛇腹タイプ」と「紐綴じタイプ」の二種類あります。
蛇腹タイプは一枚の和紙が折りたたまれたページになっており、見返すときに便利です。
多くの御朱印帳は蛇腹タイプの御朱印帳のため、お気に入りの一冊を見つけやすいでしょう。
一方「和綴じタイプ」は和紙がノートのようなページになっていることが特徴です。
一般のノートと同じような感覚で使用できることが特徴です。
2-3-3. おすすめは「B6サイズ・蛇腹タイプ」
御朱印帳には様々なサイズがありますが、基本は「B6サイズ(文庫本サイズ)」「蛇腹タイプ」のものを選ぶとよいでしょう。
B6サイズの御朱印は、御朱印をもらえるほぼ全ての神社仏閣でもらうことができますが、B5サイズやミニサイズの御朱印は用意がない神社仏閣も少なくありません。
また、蛇腹タイプの御朱印帳は種類も多く、広げることができるのであとで見返す際にも便利であるほか、和綴じタイプに比べて種類が豊富です。
初めての御朱印帳や、色々な神社仏閣で御朱印をいただきたい、好きな絵柄の御朱印帳がいい、という方は参考にしてみてください。
2-3-4. デザインや思い入れで選んでOK
もちろん、デザインや思い入れだけで御朱印帳を選んでもOKです。
御朱印帳は神社仏閣の他、文具店や雑貨店など様々な場所で販売されています。
神社仏閣にちなんだものやおしゃれな絵柄のもの、有名デザイナーがデザインしたものなど様々です。
思い入れのある神社仏閣で選ぶのもありです。是非お気に入りの一冊を探してみてください。
3. 御朱印帳の使い方
3-1. 御朱印帳の使い方は?
3-1-1. まず表題を記入する
御朱印帳の中には表紙に紙(ラベル)が貼ってある場合があります。ここには表題として「御朱印帳」や「御朱印帳 名前」を記入するのが一般的です。
こちらは自身で記入しても、字が得意な人に書いてもらってもかまいません。
ただし、神社仏閣では書き入れを行っていない場合が多いかと思います。その神社仏閣で受けた御朱印帳の場合は、書き入れ可能かどうか聞いてみましょう。
ラベルがない場合はそのままで問題ありません。
3-1-2. 右開きで順番に書き入れていく
御朱印帳は、蛇腹式の場合は右開きが一般的です。(和綴じ式の場合は逆もあります)
表紙をめくり、表表紙の裏を飛ばして左ページから順番に書き入れていくようにしましょう。
なお、表表紙の裏は、御朱印を書かないのが一般的です。
書いてはいけないという決まりはありませんが、表紙裏のため捺印しにくく、きれいに御朱印が押せない場合があります。
3-1-3. 裏面も使ってよい
御朱印帳は、両面を使って問題ありません。
表面が終わったら、そのまま裏に違う神社仏閣の御朱印をいただいても失礼には当たりませんのでご安心下さい。
ただし、墨が裏までしみ込んでいる場合は注意しましょう。
その場合は、表面だけを使って新しいご朱印帳に切り替える、という方法も大丈夫です。
3-1-4. 汚れ防止のカバーや御朱印帳袋がおすすめ
御朱印帳は織物で出来ていることも多く、持ち歩く間に汚れてしまうことがあります。
そんなときはご朱印袋やビニール製のカバーをかけましょう。
神社仏閣で販売しているものや、WEBで購入できるものも出来ます。
3-2. 御朱印をいただく手順は?
3-2-1. まずはお参りをしましょう
御朱印はあくまでお参りの証です。まずは神社仏閣にお参りをしましょう。
神社仏閣によっては先に御朱印の受付をする場合もありますが、その場合は受付のあと、必ずお参りするようにしましょう。
3-2-2. 受付で申し込み
受付は、社務所やお守りの授与所でおこないます。わからない場合は聞いてみましょう。
なお、写経をすることで御朱印をいただける寺院など、それぞれ御朱印をいただける決まり事がある場合があります。
3-2-3. 書き入れてほしいページを開いて渡す
いただく御朱印が決まったら御朱印帳を渡します。
その際、どのページに書いてほしいかをしっかり伝え、ページを開いて渡すようにしましょう。
また、御朱印帳の上下も間違わないように確認して渡すようにしましょう。
3-2-4. 支払いは神社仏閣によって異なる
御朱印の代金(初穂料・志納金)を渡すタイミングはそれぞれの神社仏閣で異なります。
申し込みの際に納める場合や、書き終えた後に納める場合があります。
3-2-5. 心静かに境内で待ちましょう
御朱印の書入れには、一定の時間がかかります。
その間は境内の散策などをして、ゆっくり待ちましょう。
混んでいるタイミングの場合は相応の時間がかかりますので、あらかじめ考慮に入れて行くと安心です。
なお、御朱印を書いている際の撮影はマナー違反です。
3-3. 御朱印の保管方法は?
3-3-1. 神棚や仏壇で保管
神社でいただいた御朱印や御朱印帳は神棚に、お寺でいただいたものは仏壇に保管しましょう。
御朱印はお神札やお守りと異なりあくまで参拝の証ですが、神社仏閣の名前が入っており、丁寧に扱わなければいけないものです。
3-3-2. タンスや引き出し、本棚で保管
タンスや引き出し、本棚で保管するのもよいでしょう。
この際も専用の箱に入れる等、粗末にならないように心がけましょう。
3-3-3. 湿気や日光に注意
御朱印帳は湿気や日光に弱いため、風通しが良く、直射日光が当たらない場所で保管するようにしましょう。
また、墨が乾ききっていないまま保管をするとページがくっついてしまう危険性があります。
十分乾かしてから保管するようにしましょう。
4. 御朱印をいただく上でのマナー
4-1. 御朱印帳は神社とお寺で分けるべき?
4-1-1. 分けたほうが便利
神社とお寺で御朱印帳を必ずしも分けなければいけないという決まりはありません。
ですが異なる宗教のため、分けておいたほうが無難です。
また見返す際にも、神社とお寺を区別したほうが後の理解のためにも便利です。
4-2. 直書き御朱印がいただけない場合は?
4-2-1. 書置きの御朱印や出直すことも
神社仏閣によっては忙しい日や御朱印の書き手が不在の場合など、日によっては御朱印帳に御朱印をいただけない場合があります。
その場合は多くの神社仏閣では書置きの御朱印が用意されていますので、そちらをいただくようにしましょう。
もしくは予定を聞いて、日にちを改めて出直すようにしましょう。
4-3. 書き損じが起こってしまった場合は?
4-3-1. そのままで問題ない
御朱印は墨書の手書きの為、日付のミスや字の誤りなど、どうしても書き損じが起こってしまうことがあります。
書き損じが起きても、基本的にはそのままで大丈夫です。縁起が悪いということはありませんのでご安心ください。
あまりこんでいない時間帯や、書き手の人から書き直させてほしい等の申し入れがある場合は、書き直しをお願いしてもよいでしょう。
4-4. 通販で御朱印をいただいてもよい?
4-4-1. いただいた後はお参りをしましょう
近年では御朱印を書く神社仏閣から通販でいただくことも出来ます。
もちろん通販で御朱印をいただいても問題はありませんが、いただいた際にはその神社仏閣の方角に向かってお参りをしましょう(遥拝:ようはい)
また、後に近くに行く機会があったら立ち寄ってお参りをするようにしましょう。
4-4-2. 転売はやめましょう
フリマアプリなどで販売されている御朱印を購入するのはやめましょう。
御朱印はあくまで商品ではなく、信仰の証の一つです。
どうしても遠方の神社仏閣の御朱印がいただきたい場合は、知り合いに代理でお参りに行ってもらう・問い合わせてみるなどするようにしましょう。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
まとめると
・御朱印はお参りの証
・御朱印帳はご朱印を集める帳面で神社仏閣や文具店で入手する
・初めての御朱印帳は文庫本サイズ・蛇腹タイプが使いやすい
・御朱印帳は右開きで訪れた順番にもらう
・神社仏閣で御朱印をもらう際はまずお参りをするのがマナー
・御朱印や御朱印帳は神棚や仏壇、タンスの中などに丁寧に保管する
・御朱印帳は神社とお寺で分けると便利
以上となります。
御朱印は、神社仏閣へのお参りの証であり信仰の証でもあるため、初めての人には少しハードルが高く見えるかもしれません。
しかし、最低限のマナーさえ押さえていれば決して難しいものではありません。
旅行先でいただく御朱印は旅の思い出になりますし、近所の神社仏閣の御朱印きっかけで地域の歴史を知ることができたりと、御朱印集めには様々な魅力があります。
ぜひお気に入りの御朱印帳をもって、御朱印集めに行ってみてくださいね。
よくある質問
[質問]御朱印帳とはなんですか? |
[回答]御朱印帳は御朱印をいただく専用の帳面です。文庫本サイズで蛇腹タイプのものが一般的です。 |
[質問]御朱印帳はどこで入手できますか? |
[回答]神社仏閣や、文具店でも入手できます。 |
[質問]御朱印をいただく際に気をつけることは? |
[回答]まず初めにお参りをしてから御朱印をいただきましょう。また御朱印は参拝の証ですので粗末にならないよう保管しましょう。 |