INDEX
1. ご祝儀とは?
1-1. お祝いを伝えるための金銭
ご祝儀とは、慶事(おめでたいお祝い事)に対して、お祝いを伝えるために渡す金銭をいいます。
結婚式や入学式、成人のお祝いなど様々な場面で用いられます。ご祝儀は「ご祝儀袋」という専用の袋に入れ、お祝いの言葉とともに相手に渡します。
1-2. 結婚式のご祝儀は「お祝い金と食事代」
結婚式でのご祝儀は「結婚する二人へのお祝い金と、当日の食事代を合わせたもの」という意味合いがあります。
これは、昔は結婚式を自宅で行っていたことに由来します。結婚式では、新郎新婦が親しい人を自宅に招いて行っていましたが、新郎新婦に負担をかけまいと、次第に参加者たちは結婚式に飲食物を持ち込むようになっていきました。
この飲食物を持ち込む風習が、後に現金を持ち込むようになったといいます。
結婚式をホテルや式場で行うようになった現在、お祝い金と引き出物を含めた飲食代が、現在のご祝儀の形になっているといわれています。
1-3. 用途や金額にあった適切なご祝儀を選びましょう
ご祝儀は、ご祝儀袋に入れて相手に渡すのがマナーです。
ご祝儀袋は、用途や金額によって種類が異なり、用途の異なるご祝儀袋は使用できません。
また、ご祝儀袋の書き方やお札の入れ方、渡し方にもそれぞれ決まりがあり、間違ってしまった場合は相手に失礼になってしまいます。
せっかくのお祝いの場面で失敗しないよう、正しいご祝儀袋で渡すようにしましょう。
2. ご祝儀はいくら包む?お金を準備するときの注意は?
2-1. 3万円が相場
結婚式のご祝儀は、関係性や立場によって金額が異なりますが、一般的には3万円が相場です。
全日本冠婚葬祭互助協会が平成29年に行った調査は、以下の通りになります。
(出典: 祝儀(結婚祝い)等に関するアンケート調査(平成29年度)|一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会)
親戚など、関係性が近くなるにつれご祝儀の金額も大きくなっているのが分かります。
3万円にする意味合いとしては、披露宴の料理がおおよそ1万円~2万円と考え、お祝い金が1万円という考え方と一般的にいわれています。
2-2. 割り切れる金額は包まない
2で割り切れる金額は「割れる=別れ」を想起させるためマナー違反になります。4万円や6万円を包むことの無いように注意しましょう。
ただし8万円は「末広がりの8」であるため、包んでも良いとされています。
また2万円は「ペア」であるため包んでも良いとされる場合もありますが、前述の通り、結婚式では料理の準備だけで2万円程の予算がかかる事がほとんどです。
金額が少ないことで新郎新婦の負担になってしまうこともありますので、避けた方が無難です。
2-3. 連名の場合は「2人分」の金額を
夫婦など、家族で連名の招待状をいただいたときには「人数×3万円程度」を準備するのが相場です。
ただし夫婦2人の場合、2人で6万円と偶数金額になってしうため、5万円程度を準備するのが一般的です。なお、特に親しい関係性の場合は7万円を包む場合もあります。
2-4. 新札を包みましょう
結婚式のご祝儀は、新札を用意するのが基本です。しわくちゃなお札や汚れたお札はマナー違反です。
新札は、郵便局や銀行の窓口のほか、ATMで出来る場合もあります。あらかじめ準備しておきましょう。
2-4-1. 直前の場合、ホテルや式場で両替できることも
新札を準備するのを忘れてしまった、という方は、結婚式が行われるホテルや式場で両替してもらえる場合があります。
ただし、必ず用意があるわけではありませんので、事前に準備しておくことが好ましいでしょう。
2-4-2. どうしても準備できない場合は、折り目の無いなるべくきれいなお札を
どうしても準備できない場合は、なるべくきれいなお札を包みましょう。
折り目などがついているものはNGです。
3. ご祝儀袋の正しい選び方は?
3-1. 「のし付き」「白色のご祝儀袋」が正式
ご祝儀袋は「のし付き」の「白色のご祝儀袋」が正式です。
「のし(熨斗)」とは、封筒の右上についているものであり、あわびを干して薄く伸ばした「のし」を紙で模したものです。
古来、あわびはとても貴重で、神様へのお供え物として用いられていました。あわびは栄養価が高く、長持ちすることから保存食として、「不老長寿の印」と重宝されていました。あわびののしは非常に縁起がいいとされています。ご祝儀袋ものしを模した紙がついているものがより正式なものですので、あらたまった結婚式では「白いのし付きのご祝儀袋」を使うと無難です。
3-1-1. 友人の結婚式ではカジュアルなご祝儀袋でもOK
親しい友人の結婚式では場合は、カラフルなご祝儀袋やおしゃれな柄のご祝儀袋でも問題ありません。
おしゃれなご祝儀袋は華やかな印象を与えるため、親しい友人などには喜んでもらえるでしょう。
3-2. 水引は「紅白」「10本」結び方は「結び切り」
「水引」のし袋についている飾り紐のことをいいます。水引は色や本数、結び方によってそれぞれに意味があり、異なる意味の水引を使うことはマナー違反です。
結婚式では「紅白」「10本」結び方は「結び切り」の水引を使用するのがマナーです。
3-2-1. 慶事で使用するのは「紅白」「金銀」「赤金」
水引の色は、慶事を表す紅白が基本です。また、同じく慶事を意味する「金銀」「赤金」などでもよいとされています。
3-2-2. 「10本」はおめでたい本数
結婚式をはじめ、婚礼関係では本数が10本の水引を使用します。
一般的にお祝い事の水引は奇数本数で結ばれ、反対に、葬儀では偶数本数の水引が使用されます。
結婚式をはじめ婚礼関係で10本の水引を使う理由は、偶数という意味ではなく奇数の5本ずつを両家に見立てて倍数にした、二重の大変おめでたい本数び方であるという考え方によるものです。
3-2-3. 一度限りのお祝いを表す「結び切り」
結婚式では「結び切り」で結ばれた水引を使用します。また、結び切りの一種である「あわじ結び」「梅結び」でも大丈夫です。
結び切りは一度結ぶとほどけにくく「一度きりのお祝い」という意味が込められており、二人がたもとを分かつことの無いようにとの願いが込められています。
同じお祝い事でも「蝶々結び」は簡単にほどけ何度でも結びなおせることから「何度あってもよい」お祝いである出産祝いなどで使用しますが、「一度きり」のお祝いである結婚式で使用することは失礼にあたります。
3-3. 金額に見合ったご祝儀袋を選ぶ
ご祝儀袋を選ぶ際、ご祝儀の金額に見合った袋を選ぶ必要があります。
見た目がきれいだからと、少ない金額を豪華な袋に包むことや、反対に高額のご祝儀を簡易的な袋に包むのはちぐはぐな印象になりマナー違反です。
最近のご祝儀袋には、包む金額の目安が記入されている場合が少なくありませんので、そちらを参考に決めましょう。
4. ご祝儀袋はどこで購入する?
ご祝儀袋は文房具店や百貨店、インターネットでの通販など、様々なところで入手できます。
4-1. 文房具店や百貨店
文房具店や百貨店には、様々な種類のご祝儀袋が用意されています。
用途や目安などを店員さんと実際に相談でき、実物を見ながら決めることが出来るのもメリットです。
店舗によっては、文字入れの代筆サービスを行っているところや、お店オリジナルのご祝儀袋があるところもあります。
4-2. インターネットでの通販
Amazonや楽天など、インターネット上で購入する方法もあります。
インターネット上には様々な種類のご祝儀袋がありますが、多くの商品にはご祝儀袋の用途や金額の目安が書かれているため、目的のものをすぐに見つけることが出来ます。インターネットで購入する場合も、文字入れを代筆してもらえるサービスがあるところもあります。
また、ご祝儀袋専門店の通販ではオリジナルのご祝儀袋を扱っているところもあり、親しい友人の結婚式でひときわ目を引くご祝儀袋も手に入ります。
◆参考
4-3. コンビニやスーパー、100円均一ショップ
手軽に実物を見て購入したい場合、コンビニやスーパー、100円均一ショップでもご祝儀袋を購入することが出来ます。
ただし、店舗によっては簡易的なご祝儀袋しか置いていない場合もあります。低価格なご祝儀袋は、文具店などで購入したご祝儀袋に比べると若干作りが安っぽく感じてしまうものもありますが、使用して失礼になるわけではありませんので、ご安心ください。
5. ご祝儀袋の書き方は?
ご祝儀袋は表書きをする上袋と、紙幣を入れる中袋からなります。上袋のみ、中袋のみ(封筒形)のご祝儀袋は簡易的なものですので、結婚式では使用しません。
上袋と中袋それぞれに名前やご祝儀の金額を正しく記入する必要があります。
5-1. 上袋の書き方
上袋は中袋を包む一番外側にくる袋のことをいい、表書きと自分の名前を記入します。
5-1-1. 上段に「寿」「御結婚御祝」「御祝」などの表書きを記入
正面上段に「寿」「結婚祝」「御祝」などご祝儀の表書きを書きます。寿は旧字の「壽」を使うとより格式の高い書き方といわれています。
なお、「御結婚祝」「祝結婚祝」など4文字の言葉は縁起が悪いと考えられているので、書かないように気を付けましょう。
5-1-2. 下段には自分の名前を書く
上袋の下段には自分の名前をフルネームで書きます。
職場での肩書などを記入する場合は、右側に記入します。
5-1-3. 連名の場合は代表者を中心に書く
ご祝儀は基本的に個人で渡すものですが、夫婦や家族と連名で招待状が届いた場合、ご祝儀も連名で渡すのが一般的です。
連名の場合、苗字が同一の場合は名前を並記します。なお、夫婦と子供の4人以上で招待された場合、「家族一同」とまとめて記入します。
① 夫婦二人で連名する場合
② 夫婦と子供で連名する場合
③ 4人以上の家族で連名する場合
5-1-4. 家族が欠席の場合でも連名で問題ない
連名で招待された人の中に欠席者がいても、連名で記入して問題ありません。
5-2.中袋の書き方
中袋には、表面にご祝儀の金額、裏面に住所と氏名を記入します。
5-2-1. 表面は中央に金額を記入
表面の中央には金額を記入します。
「金〇仟圓」のように、旧漢字で金額を記入するのが一般的です。
ご祝儀が10万円を超える場合は、金額の後に「也」と付け足します。
<参考・旧漢字での数字の書き方>
5-2-2. 裏面には住所と名前を記入
中袋の裏側左下に、住所と氏名を記入します。
その際は代表者の名前だけで大丈夫です。
5-2-3. 住所を書く際の数字は漢字でも数字でもOK
中袋の表の金額は旧漢字で記入するのが一般的ですが、中袋の裏の住所は漢字でもアラビア数字(1,2,3)でもどちらでも大丈夫です。
5-3. アルファベットはカタカナ縦書きで
名前や住所・マンション名などが英語表記の場合、決まりはありませんが、読みやすいようにカタカナ縦書きで記入すると丁寧です。
ご祝儀袋は受けつけの係の人や、新郎新婦も後々確認をすることになるので、読みやすく記入しておきましょう。
なお、会社名などどうしても英語表記になってしまう場合は、縦書きの英語で記入しても問題ありません。
6. ご祝儀は何を使って書く?
6-1. 筆や筆ペン
ご祝儀袋を書く際は「筆」もしくは「筆ペン」を使います。
どうしても、という場合はサインペンでも失礼には当たりませんが、出来る限り筆ペンを使うようにしましょう。
なお、薄墨は弔事用ですので、筆ペンを用意するときは注意しましょう。
6-2. ボールペンや万年筆はNG
ボールペンや万年筆など、線が細いものは失礼にあたります。
使用しないように気を付けましょう。
6-3. 代筆サービスを利用するのも手
字に自身の無い人は、周囲の人に代筆を頼むのも、マナー違反にはなりません。
また、大手の百貨店などには有料の代筆サービスがあるほか、インターネットではご祝儀袋の購入と名前入れがセットになっている商品も販売されています。
文字を書くのに苦手意識がある人は検討してみても良いでしょう。
6-4. 字の上手い下手は関係ない
ご祝儀袋に文字を記入するにあたって、文字の上手い下手は関係ありません。
自分なりに気持ちを込めて書くことでお祝いの気持ちはおのずと伝わります。苦手でもゆっくり丁寧に書けば、問題はありません。
7.ご祝儀の包み方と渡し方は?
7-1. お札の肖像画が正面向き・上部に来るように
中袋にお金を入れるときは、肖像画が正面向き・上部に来るように入れます。
逆になってしまうと弔事での入れ方になってしまうので、間違えることの無いようにしましょう。
7-2. のり付けはしなくてよい
中袋はのり付けをせず、そのまま上袋で包みます。
本来「奉書紙」と呼ばれる和紙にお金を包んでいたことがのし袋の由来のため、のり付けする習慣はありませんでした。
したがって、のりしろがついている中袋もありますが、のり付けは必要ありません。
7-3. 上袋は、下側が上側に重なるように
最後に上袋で中袋を包みます。包む際、後ろの重なる部分は、結婚式などお祝い事の場合は下部が上に来るように折りたたみます。
一方、葬儀などでは上部が上に来るように重ねます(地域や流派によっては逆の場合もあります)。
8. 会場での渡し方は?
8-1. 袱紗に入れて丁寧に持っていきましょう
せっかく準備をしたご祝儀袋が、渡す前に折れてしまっては残念です。
結婚式当日は「袱紗(ふくさ)」に入れて会場までもっていきましょう。
8-1-1.袱紗の色は暖色か紫色
袱紗は、結婚式などの慶事では赤・朱色・オレンジ・ピンクなどの暖色を使用します。一方、寒色である青・紺・緑などの袱紗は弔事用ですので使用できません。
なお、紫色の袱紗は慶事・弔事両方で使用できますので、一つ準備しておくとどちらも使えて便利です。
8-2. 会場の受付でお祝いの言葉とともに渡す
ご祝儀は当日、受付の係の人に渡します。
渡し方は、ご祝儀を袱紗から出し袱紗の上に置き、正面が相手の前にくるように渡します。 渡すときは一言「この度はおめでとうございます」と、お祝いの言葉とともにご祝儀を渡します。
9.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ポイントをまとめると
〇ご祝儀は食事代+お祝い金
〇金額は関係性によって異なるが、3万円が相場
〇「のし付き」「紅白10本・結び切りの水引」「白色のご祝儀袋」が基本
〇上袋は上段に「寿」「結婚祝」下段には自分の名前
〇中袋は表に旧漢字で金額、裏に住所と名前
〇お札は肖像画が正面・上部に来るように
〇当日は袱紗に入れて持っていく
です。
結婚式は、新郎新婦にとって一度しかないハレの場です。
マナー違反になって水を差してしまうことの無いよう、しっかり準備して新郎さん新婦さんをお祝いしましょう!
<参考資料>
長浦ちえ「日本水引」(2023)誠文堂新光社
久保村正高「一生使えるお作法図鑑」(2008)PHP研究所
小林玖仁男「日本の室礼」求龍堂
9. よくある質問
[質問]結婚式ではどのようなご祝儀袋をつかいますか |
[回答]結婚式では、のし付き、紅白10本・結び切りの水引がついたのし袋を使用します。 |
[質問]ご祝儀の相場はいくらですか |
[回答]3万円が相場ですが、関係性や立場によっても異なります。 |
[質問]ご祝儀は筆で書かねばなりませんか |
[回答]ご祝儀は筆もしくは筆ペンで記入します。ボールペンや万年筆など細い文字で書くのは失礼にあたります。 |