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このはな手帖

【知っておきたい】秋にも土用がある?土用に食べるとよいものは?

【知っておきたい】秋にも土用がある?土用に食べるとよいものは?

土用といえば、"土用の丑の日のうなぎ"をイメージする方が多いでしょう。

実は、これは「夏」の土用です。

同じように、秋にも土用があることをご存知でしょうか?

土用は、春夏秋冬の季節の境目にそれぞれにある暦です。いずれの時期も、この期間に食べると縁起のよいものがあります。

この記事では、そもそも土用とは何なのか、春夏秋冬それぞれの土用がいつなのか、期間中に何をすべきか・してはいけないのか、何を食べると縁起がよいのかについて詳しく解説します。

土用はそれぞれの季節の変わり目にありますが、気候の変化により体調を崩しやすい時期でもあります。

土用の由来を知り、日本古来の風習に触れ、日本の四季を感じながら、先人たちが残してくれた養生方法を実践して豊かな日々を送りましょう。

INDEX

1.土用とは?

日本の農業で感じる四季

1-1. 雑節の一つ

雑節とは、五節句・二十四節気以外の、季節の移り変わりの目安となる日の総称です。

「春分」「夏至」「秋分」「冬至」などの二十四節気は、紀元前6世紀頃の中国で成立した暦です。農作業を目安にすることを目的に作られ、黄河中流の気候的特色が反映されたものですが、日本においても長い間使われています。

しかし、二十四節気では日本の季節の変化を十分に掴めません。そこで、日本の季節にあわせて新たに作られた日本独自の暦が「雑節」です。

「雑節」は以下の通りであり、土用は雑節の一つです。

節分 季節の分かれ目。二十四節気の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを指したが、現在は立春の前日だけを指すことが多い。
八十八夜 立春から数えて88日目。霜が降りることが少なくなる頃。 「♬夏も近づく八十八夜」の歌が有名。
入梅 梅雨が始まる頃。七十二候の一つ「芒種」のあとの壬(みずのえ)の日。
半夏生 夏至から10日後。
二百十日 立春から数えて210日目。
彼岸 「春分」と「秋分」を中日とし、それぞれその前後3日間の計7日間
土用 「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前、約18日間ずつ、計約72日間。

暦は太陽の動きに深く関係し毎年少しずつ変わるので、雑節は、二十四節気とともに国立天文台の暦計算室から毎年発表されています。

1-2. それぞれの四季の終わりの18日間のこと

土用とは、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前、約18日間ずつの年間合計72日間を指します。

1年間の土用を示した図

1-3. 土の神様である「土公神」がいる期間

この「土公神(どくじん、どこうじん)」と呼ばれる神様は、遊行神といい、同じところにいるのではなく、季節によって居所を変えます。春は竈(かまど)、夏は門、秋は井(井戸)、冬は庭、それぞれの地中にいるとされています。(出典:土公神とは 土を司る神を伊勢暦から紐解く – 古文書ネット

土用の期間中は、陰陽道で土をつかさどる土公神の支配下にあるとされることから、土用の期間中は、
・土を動かすこと(土いじり、草むしり、井戸掘り、増改築、地鎮祭)
・新しいこと(新居購入・就職や転職・結婚や結納・開業や開店)
・方角に関すること(引っ越し・旅行)
をすることは縁起が悪いとされています。

1-4. 土用は季節の変わり目の養生期間

日本独自の季節の移り変わりを知るために作られた雑節の一つ、「土用」。

いずれも、立春・立夏・立秋・立冬といった季節の変わり目にあり、この時期は体調を崩しやすい時期でもあります。

急激な気温の変化に体が疲れてしまう時期ですので、旬のものを食べて体をゆっくりと休める期間といわれています。

1-5. 土用といえば「丑の日のうなぎ」!?

うなぎ

現代の私たちは、「土用」というと、「土用の丑の日にはうなぎを食べる」というイメージが強いかもしれません。

これは、「夏の土用」に関するものです。ちなみに、2024年、7月24日(水)と8月5日(月)の2回あります。

諸説ありますが、江戸時代中期の学者である平賀源内が、夏に売り上げが伸びないといううなぎ屋からの相談を受けた際、「本日、土用丑の日」と店頭に張り紙をするよう助言したところ、うなぎ屋は大繁盛したことが始まりであると、一般的に知られています。

時を遡ると、奈良時代の歌人である大伴家持が「・・・夏痩せによしといふ物ぞ 鰻取り食せ」つまり「うなぎは夏瘦せにいいので、食べなさい」といった歌を万葉集に残しています。

さらに、以前から「土用の丑の日には“う”のつく食べ物を食べる習慣などがあったことも助け、季節の養生という面でも理にかなった宣伝文句として、広く受け入れられるようになりました。

1-6. 2024年土用の丑の日は6回ある

「丑の日」というのは干支を循環させて日ごとに割り当てるものですので、12日に一度、「丑の日」はあります。

土用は18日間ありますから、その期間中、「丑の日」は1~2回あたることになります。

なお、2回丑の日がめぐってくる場合、1回目の丑の日を「一の丑」、2回目の丑の日を「二の丑」と呼びます。

冬の土用の丑の日 1月26日(金)
春の土用の丑の日 4月19日(金)、5月1日(水)
夏の土用の丑の日 7月24日(水)、8月5日(月)
秋の土用の丑の日 10月28日(月)

ただ、やはり「土用の丑の日」として有名なのは、夏土用です。

各季節の土用期間中、縁起のよい干支の日が決められており、夏土用は「丑の日」がよいとされます。

特に「う」のつく食べ物が縁起がよいとされており、中でもうなぎは夏の滋養強壮に役立ち、「う」のつく縁起のよい食べ物として親しまれています。

2.土用の由来は?

五行の解説

 

2-1. 古代中国の五行説との関連

日本の四季は、春夏秋冬と土用を合わせて五季とみることができますが、この捉え方は、古代中国で始まった「五行説」と深く関係しています。

五行説とは、あらゆる物は木・火・土・金・水からなるとする思想です。中国の戦国時代(紀元前4~5世紀頃)に誕生し、のちに陰陽と結びつき「陰陽五行説」ともいわれます。

五行の特性とイメージは次の通りです。特に土は、万物を生み出す源と考えられ、長い歴史の中で発展を繰り返し、土を五行の中心に配する「五行土王説」が確立されることとなります。

五行 特性とイメージ
力を尽くして上や外へ広がっていく。成長発展、のびやか、円滑。
炎が上を向き、熱や光を発して空気の上昇や流動を引き起こす。炎上、発熱
大地が万物を生み出し、育て養う。養育、受納、変化。
金属のように固く冷たく、また清潔である。清涼、清潔。
水が下に流れ、物を濡らして潤す。寒湿、下行、滋潤。

2-2. 「五行配当表」を知ると理解が深まります

漢方でよく使われる考え方ですが、主に五行のそれぞれの属性に基づき、心身と自然を幅広く関連付けて分類して表にしたものを「五行配当表」(以下)といいます。

この五行配当表を応用することで、体調を崩しやすい季節の変わり目である土用の期間に、体調管理や養生を工夫することができます。

五季 土用
五臓
五色
五味 鹹(塩)

「五季」はそれぞれの内臓(「五臓」)が活発に働いたり負担がかかりやすい季節を示します。また、「五色」や「五味」は、それぞれの内臓に働きかける色や味を示します。

例えば、土用の季節には、脾(消化・吸収系の内臓)に負担がかかりやすいため、黄色く甘い食べ物を食べるとよいとされます。かぼちゃやさつまいもはその代表です。

※(参考)五臓:現代医学での機能にあてはめると、次のようになります。
・肝=自律神経系、情緒など
・心=心臓の循環機能、意識など
・脾=消化・吸収機能、水分・栄養の代謝など
・肺=呼吸機能、皮膚機能など
・腎=生命維持機能、生殖系、泌尿器系など

3.2024年の土用期間と間日はいつ?

カレンダー

3-1. 間日とは土公神が土を離れて天上界に行く日

土用の期間中は、陰陽道で土をつかさどる神である土公神の支配下にあるとされていますが、この期間中であっても土公神が土を離れて天上界に行く日があります。

この日のことを「間日(まび)」といいます。

「春の土用」は「巳の日」「午の日」「酉の日」
「夏の土用」は「卯の日」「辰の日」「申の日」
「秋の土用」は「未の日」「酉の日」「亥の日」
「冬の土用」は「寅の日」「卯の日」「巳の日」が間日にあたります。

土用期間には土を動かすような行為(例えば、草むしりや土いじり、井戸掘りや増改築など)は避けるべきとされますが、間日であればこれらの行為を行っても大丈夫といわれています。

3-2. 冬の土用期間と間日

冬の土用 2024年1月18日(木)~2月3日(土)
冬の土用の間日 1月18日、1月27日、1月28日、1月30日

3-3. 春の土用期間と間日

春の土用 2024年4月16日(火)~5月4日(土)
春の土用の間日 4月23日、4月24日、4月27日

3-4. 夏の土用期間と間日

夏の土用 2024年7月19日(金)~8月6日(火)
夏の土用の間日 7月19日、7月26日、7月27日、7月31日

ちなみに、2024年の土用の丑の日は、7月24日(水)と8月5日(月)です。

3-5. 秋の土用期間と間日

秋の土用 2024年10月20日(日)~11月6日(水)
秋の土用の間日 10月22日、10月24日、10月26日、11月3日、11月5日

4.土用の期間にやってはいけないことは?

土用期間には控えるべきとされることもあります。科学的な根拠があるものではありませんが、古くからの伝えによるものです。気になる方は、控えましょう。

4-1. 土に関すること(土いじり、草むしり、井戸掘り、増改築、地鎮祭)

土を掘り起こすスコップ

土用期間中は、土の神様である土公神が土の中にいるとされますが、その期間には土を動かすことはよくないといわれています。

土の中でゆっくり過ごしていたい土公様は、土を掘り返したりすると嫌がったり怒ったりするといわれているためです。

土を動かすことと、つまり「土動かし」と呼ばれる行為は具体的に、次のようなものです。

・土いじり
・草刈り、草むしり
・井戸掘り、穴掘り
・増改築、建築の基礎工事
・地鎮祭

これらの行為は、土用期間には控える風習があります。

しかし、実際問題として、1年におよそ72日間もある土用の期間にこれらのことをやってはいけないとなると、生活に支障を来たすこともあります。

このような場合、間日であれば土公神が土の中から出て天上界に行っているので、これらの土動かしを行っても問題ないとされています。

4-2. 新しいこと(新居購入・就職や転職・結婚や結納・開業や開店)

開店祝

土用は、季節の変わり目であり、体調を崩しやすい時期です。

医学が発達していない昔の人たちは、この季節は体調を第一に静かに過ごすことがよいと考えていました。そのため、土用期間には生活環境が変わるような新しいことは避けるべきといわれていました。

土用期間に避けるべき「新しいこと」とは、具体的には次のようなものを指します。

・新居購入
・就職や転職
・結婚や結納
・開業や開店

4-3. 方角に関すること(引っ越し・旅行)

引っ越し

土用期間は、全方角とも縁起が良くないとされています。

したがって、土用期間中には、方角に関すること、つまり場所を移動するような旅行や引っ越しは避け、静かに過ごすことが好ましいとされていました。

また、土用期間はどの方向もよくないとされますが、特に凶とされる方位があります。このことを「土用殺(どようさつ)」といいます。特に気を付けるべき方角とされています。

土用 方角(土用殺)
冬の土用 北東
春の土用 南東
夏の土用 南西
秋の土用 北西

5.土用期間に食べるものは?

春夏秋冬の季節の移り変わりにある「土用」。

それぞれの時期に食べるとよいとされるものがありますが、まずはその根拠となる考え方を解説します。

その基礎となるのが「陰陽五行説」です。

陰陽五行説は、陰陽説と五行説があわさったものですが、それぞれの基本的な考え方は次の通りです。

・陰陽説・・・万物は陰と陽という対立する2つの原理によって成り立ち、その相互作用によって変化する

・五行説・・・万物は木・火・土・金・水の5つの要素に分類され、相互に影響しながら変化し循環している

四季に土用を加えた「五季」も例外なく、「木・火・土・金・水」に当てはめられますが、これに、色・方位・干支を追加したものが以下の図です。

五行説に基づく五季、方位、色

(補足)方位では、土用は”中央”とされます。

また、陰陽五行説では、「相克」という概念があります。対立するものが互いに相手に勝とうと争うことであり、五行説に当てはめると、木は土に、土は水に、水は火に、火は金に、金は木に勝つことを意味します。

土用の期間に食べるとよいとされる食べ物は、これらの考え方を基礎とします。

「秋土用」を例に考えると・・・

「秋土用」は、秋と冬の境目・立冬の前の10月末から11月のはじめ頃。つまり、秋の干支は「戌」、色は「白」となります。

これに相克の概念を当てはめると、秋に盛んになる「戌」を、その対になる「辰」が剋すということになります。

この「辰」に対応するのが「青」であるため、「秋土用には、『た』のつく食べ物、『青』い食べ物」がよいとされます。

他の季節も同様です。それでは、具体的にどんな食べ物がよいのか見ていきましょう。

5-1. 冬土用の「未の日」に「ひ」のつく食べ物や赤い食材を

冬

冬の土用は、最も寒さが厳しく、風やインフルエンザに気を付けたい時期です。

この冬の土用の「未(ひつじ)の日」に「ひ」のつく食べ物もしくは赤いものを食べるとよいとされます。

・ヒラメ
・ヒラマサ
・ひじき
・ひよこ豆
・とまと
・パプリカ
・りんご  など

なお、2024年冬土用の「未の日」は、1月20日(土)と2月1日(木)です。

5-2. 春土用の「戌の日」に「い」のつく食べ物や白い食材を

春

春の土用は、まだまだ寒暖差の残る時期で体調に注意が必要です。生活の環境が変わったりする方も多く、体に負担がかかる時期でもあります。

この春の土用の「戌(いぬ)の日」には、「い」のつく食べ物もしくは白いものを食べるとよいとされます。

・いわし
・いくら
・しらす
・いか
・いちご
・芋
・大根
・かぶ
・いんげん  など

なお、2024年春土用の「戌の日」は、4月16 日(火)・4月28日(日)です。

5-3. 夏土用の「丑の日」に「う」のつく食べ物や黒い食材を

夏

夏の土用は、梅雨が明けて夏真っ盛りの頃。夏バテ防止にしっかり栄養を取りたい時期です。

この夏の土用の「丑(うし)の日」には、「う」のつく食べ物もしくは黒いものを食べるとよいとされます。

・うなぎ
・うどん
・瓜(きゅうり、すいか、かぼちゃなど)
・梅干し
・土用しじみ
・土用卵
・土用餅  など

なお、2024年夏土用の「丑の日」は、7月24日(水)と8月5日(月)です。

5-4. 秋土用の「辰の日」に「た」のつく食べ物や青い食材を

秋

秋の土用は、夏の疲れが出てくる時期であり、冬の寒さに向けてしっかり体力を蓄えておきたい時期です。

この秋の土用の「辰(たつ)の日」には、「た」のつく食べ物もしくは青いものを食べるとよいとされます。

・ サンマ
・ たこ
・ 大根
・ 玉ねぎ
・ たけのこ など

なお、2024年秋土用の「辰の日」は、10月31日(木)です。

6.色々ある「土用〇〇」って?

6-1. 土用鰻

土用うなぎ

夏になると、スーパーマーケットでは「土用のうなぎ」で賑わいます。土用といえばうなぎ、のイメージも強いかと思います。

暑い夏の土用の丑の日には、滋養強壮のためうなぎを食べる習慣があります。

本来は冬が旬であるうなぎ。夏に売り上げが伸びないと相談したうなぎ屋に、夏の土用の丑の日に「う」が付く食べ物を食べるとよいとされていたことにちなんで、平賀源内が「本日、土用丑の日」と張り紙をするよう助言したところ、それが大当たりしたことに由来します。

それ以来、土用の丑の日にはうなぎを食べるという風習が根付いた、といわれています。

6-2. 土用しじみ

土用しじみ

土用しじみも、夏の土用にいただくものです。

実は、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が始まったのは江戸時代末期からですが、しじみはそれ以前から食べられていました。しじみは、庶民にも親しまれている食材でした。

というのも、しじみの旬は夏。

産卵を控えて豊富な栄養を蓄えている時期であり、夏バテ防止に適した食材として夏の土用に食べられていました。また、土用しじみは整腸作用があるといわれており、「土用しじみは腹の薬」といわれていました。

6-3. 土用餅

土用餅

夏の土用に食べるあんこ餅のことを「土用餅」といいます。特に京都や金沢を中心に、関西および北陸地方で残る風習です。

古くは宮中で、暑気あたりを防ぐため、ガガイモの葉を煮出した汁で餅米の粉を練り、丸めた餅を味噌汁に入れたものを土用の入りに食べるという風習がありました。

江戸時代になると、餅をあんこで包んだあんころ餅に変わりました。お餅は力餅、小豆は赤色が魔除けに通じるため、土用餅を食べると、暑さに負けず無病息災が叶うといわれています。

6-4.  土用干し

土用干しとは、夏の時期に行われる行事です。一般に「干す」ものは、衣類・書籍、梅、水田です。

6-4-1. 衣類、書籍
土用干しした衣類

衣類や書籍に風を通し、陰干しすることで虫やカビが付くことを防ぎます。特に、書籍を干すことを「曝書」、衣類を干すことを「虫干し」ともいいます。

6-4-2. 梅
土用干しした梅干し

梅干しを作る際、まず梅と塩を混ぜて梅から水分を出しますが、梅雨明け後、土用に入ってから三日三晩、天日干しすることを「土用干し」といいます。

この時期の紫外線は1年の中でも特に強いので、殺菌効果により保存性が高まります。

6-4-3. 水田
土用干しで乾いた田んぼ

田んぼの水を抜いて、ヒビが入るまで乾かすことも「土用干し」といいます。これにより、土中の有害ガスを抜いて酸素を補給したり、土を固くして刈り取りやすくするなどの効果が期待できます。

6-5. その他

土用掃き
夏の土用中におこなう煤払い。

土用三郎
夏の土用入りから3日間。この日が晴れれば豊作、雨ならば凶作といわれています。

土用凪
夏の土用の頃の、風がなく海が静かで蒸し暑い状態。

土用間
夏の土用に吹く、涼しい北風。

土用波
夏の土用のころに海岸に打ち寄せつ大波。台風の影響を受けてうねりのあるもの。

土用隠れ
夏の土用の水温が高い期間、魚が深場に移動し、釣れなくなること。

土用灸
 夏の土用に据える灸。夏バテや病気の回復に効果があるとされます。

7.まとめ

いかがだったでしょうか。日本独自の暦である雑節の一つ、「土用」は四季の終わりにそれぞれ存在します。さらに、いずれの土用にも食べると縁起が良いとされているものがあることがおわかりいただけたかと思います。

春夏秋冬の土用について、2024年の日付と縁起の良い食べ物をまとめた表は以下の通りです。

冬の土用 2024年1月18日(木)~2月3日(土)
冬の土用の間日 1月18日、1月27日、1月28日、1月30日
未の日 1月20日(土)、2月1日(木)
未の日に食べるもの 「ひ」がつく食べ物、赤いもの
(例)ヒラメ、ヒラマサ、ひじき、ひよこ豆、とまと、パプリカ、りんご など

春の土用 2024年4月16日(火)~5月4日(土)
春の土用の間日 4月23日、4月24日、4月27日
戌の日 4月16 日(火)、4月28日(日)
戌の日に食べるもの 「い」がつく食べ物、白いもの
(例)いわし、いくら、しらす、いか、いちご、芋、大根、かぶ、いんげん など

夏の土用 2024年7月19日(金)~8月6日(火)
夏の土用の間日 7月19日、7月26日、7月27日、7月31日
丑の日 7月24日(水)、8月5日(月)
丑の日に食べるもの 「う」がつく食べ物、黒いもの
(例)うなぎ、うどん、瓜(きゅうり、すいか、かぼちゃなど)、梅干し、土用しじみ、土用卵、土用餅

秋の土用 2024年10月20日(日)~11月6日(水)
秋の土用の間日 10月22日、10月24日、10月26日、11月3日、11月5日
辰の日 10月31日(木)
辰の日に食べるもの 「た」がつく食べ物、青いもの
(例)サンマ、たこ、大根、 玉ねぎ、 たけのこ

 

一方、土用期間に控えるべきこともありました。いずれも、気になる人は控えましょう。

・土に関すること(土いじり、草むしり、井戸掘り、増改築、地鎮祭)
土用期間に土の中で静かに過ごしたい土公様が嫌がるとされます。
ただし、土公様が天上界に行く間日であれば、行っても問題ありません。

・新しいこと(新居購入、就職や転職、結婚や結納、開業や開店)
季節の変わり目は大人しくゆったりと過ごしましょう。

・方角に関すること(引っ越し、旅行)
土用期間は全方位ともよくない方角とされます。

 

土用は、日本古来の暦です。
土用の時期は季節の変わり目で体調も崩しやすい時期ですが、日本の四季折々の豊かさを感じながら、日本の風習を楽しんでみてください。

 

<参考資料>
冨田貴史・植松良枝「春夏秋冬 土用で暮らす。」2016年、主婦と生活社
稲田義行「現代に息づく陰陽五行【増補改訂版】」2016年、日本実業出版社
国立天文台 天文情報センター 暦計算室 (nao.ac.jp)
土公神とは 土を司る神を伊勢暦から紐解く – 古文書ネット (komonjyo.net)
【みんなの知識 ちょっと便利帳】土用の丑の日の鰻 – 大伴家持が詠んだ「鰻」- 万葉集)

よくある質問

[質問]2024年の土用の期間は?
[回答]秋の土用は、10月20日(日)~11月6日(水)です。
[質問]2024年の秋土用の間日はいつ?
[回答]秋土用の間日は、10月22日、10月24日、10月26日、11月3日、11月5日です。
[質問]土用の日にやってはいけないことは?
[回答]土に関すること(土いじり、草むしり、井戸掘り、増改築、地鎮祭)、新しいこと(新居購入、就職や転職、結婚や結納、開業や開店)、方角に関すること(引っ越し、旅行)は控えるべきとされています。

 

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